yammy’s BLOG

読書・カフェが好き マキシマリスト→シンプルな生活に憧れています

「宙ごはん」はほのぼの小説ではなかった

この本を読んだきっかけ

料理やカフェが題材になっている作品が好きなので、タイトルからこちらの作品が気になっていました。今年の本屋大賞第8位の作品で本屋大賞作品はどれも外れがないので初めての作家さんでしたが、読んでみることにしました。

 

宙ごはん 作者:町田そのこ

 

 

 

あらすじ

この物語は、あなたの人生を支えてくれる
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。

<出版社HPより引用>

 

こんな人におすすめ

  • 美味しそうなご飯が出てくる作品が好きな人
  • 本を読んで感動したい人

 

感想

タイトルや表紙からほのぼの小説かと思い読み始めたところ、全くイメージとは異なりました。

家庭環境がとても複雑ということと、小説に登場する人物は様々な事情を抱えていて、それが重い内容で途中読み進めることが厳しいかもしれないと何度も挫折しそうになりましたが、物語の中で主人公の宙がどんどん成長していくので、見守っていきたい気持ちになり全て読み切ることが出来ました。

 

最初は佐伯さん(やっちゃん)がせめてもの救いで、1章に出てくるふわふわパンケーキが本当に美味しそうで、柔らかくて幸せの味というのが伝わってきました。愛の詰まったパンケーキ食べてみたいですね。

 

"家族は集団の単位のこと"というような表現があって、家族に対する自分の価値観が違っていたかもしれないと気づきました。

幸せにはそれぞれ色んな形があり、自分が考えている「普通」は他の人にとっては「普通」でなく、自分の価値観のフィルターで色んな物事を見ていてそれが正しいかどうかはわからないんだなと。もっと若い頃にこの小説に出会っていたらなと思う反面、これからは色んな立場から物事を考えていかなくてはと気づかされました。

 

また、自分の答えを見るけるために本を読んでいるというような話があって、まさにそうだなと思いました。私は前を向けるような言葉が書かれている小説が好きで、この作品も厳しい状況ではあるけれど、それに立ち向かいながら、成長していく過程がぐっときます。

涙する場面も多く、読んだ後にもふとしたときに思い出すような作品でした。最後まで読み続けるのは根気がいりましたが、最後に物語の全てが繋がる作品で心にそっと寄り添う言葉があちこちに散りばめられていて、苦しい中にも優しさと温かさのある作品でした。

 

まとめ

さすが本屋大賞は外れがないですね。面白かったというよりは読んだ後に考えさせられるような一冊でした。

「そしてバトンは渡された」のように映画化しそうな内容ですが、個人的には映像で観るには重くて辛いかなとも思います。

 

美味しいご飯を大切な人と食べる日常がどれだけ幸せなことか改めて気づかされる小説でした。上手く感想が書けなかったので、気になった方は是非小説を読んでみてください。

 

 

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